時間のかかる短歌入門①(第26回東京文学フリマ新刊)
渋谷に行こうと思って、ふと気がついたら、なぜか栃木県の宇都宮にいるかもしれないのである。しかし、宇都宮にいることの驚きは新鮮であり、「あ、なぜ、こんなことになってしまったんだ」と嘆くとき、人はもっとべつの大きな価値を得ているのにちがいない。それこそ、「ぐずぐずすることの素晴らしさ」だ。
新刊『時間のかかる短歌入門①』を2018年5月6日開催の第26回東京文学フリマにて頒布いたします。
会場は東京流通センター第二展示場です。ブースはG-22です。
頒価は500円を予定しています。
表紙は「誰にもわからない短歌入門」に引きつづき伊丹小夜(@itamiff)さんにご担当いただきました。
【目次】
時間のかかる前書き① 三上春海
『人の道、死ぬと町』を読む 鈴木ちはね・三上春海
1 奥付・装丁など
2 宇宙
3 中身を出しましょう
4 お茶本来のほのかな甘み
5 白昼
6 荒木と真心
7 君との暮らしがはじまるだろう(仮)
連載「寺井さん」第二回 寺井龍哉
不思議に美しき島よ ―― 『よい島』 前号評
第二回石井僚一短歌賞応募要項
今回の新刊では、2016年に刊行された斉藤斎藤さんの歌集『人の道、死ぬと町』を題材に、ふたたび、短歌への入門をこころみます。
ご好評いただいている既刊「誰にもわからない短歌入門」では、一首評、という切り口から、短歌という問いをかんがえました。
今回の「時間のかかる短歌入門」では、そこで欠けていた「連作」「歌集」という側面に切り込むべく、2016年におおきな反響を巻き起こした『人の道、死ぬと町』という書物を題材に、ふたたび往復書簡形式で、こんどは、収録の連作の読解をこころみました。
『人の道、死ぬと町』は、その内容の重厚さから、短歌をつくらないひとにもそうではないひとにも、刊行時、おおきな反響を巻き起こした書物です。しかしながら、その巨大さゆえに、いまだ十分に消化されきってはいない、さらなる批評を待ち望みつづけたままねむっている、そんな印象をわたしたちに残す書物でもありました。
本書「時間のかかる短歌入門」には、「連作」「歌集」といった短歌のしくみのみならず、そのような反響を生み出す斉藤斎藤さんという歌人の作家性にも着目する、一個の「斉藤斎藤論」という側面があります。
しかしながら、一個の作家論でありながらも、基本は入門書として、ぐるぐると時間をかけて、「連作」「歌集」とはなにかを考えながら、短歌というふしぎに対してアプローチをこころみる、本書はそのような、やや特殊な形式の、あたらしいタイプの入門書となりました。
第一巻となる今巻では、歌集の冒頭から、連作「君との暮らしがはじまるだろう(仮)」までを扱います。
以下、続刊予定です。
全何巻となるかは未定ですが、『人の道、死ぬと町』を未読のかたにも、あるいはそうではないかたにも、ぜひお手にとってご覧いただければうれしくおもいます。
また、好評の連載企画「寺井さん」では、前々回の東京文学フリマで頒布された既刊「よい島」について、収録作品三作品を評していただきました。「よい島」とあわせてご覧ください。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
(三上)
- 作者: 斉藤斎藤
- 出版社/メーカー: 短歌研究社
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: 単行本
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