稀風社ブログ

稀風社ブログ

稀風社は鈴木ちはね(id:suzuchiu)と三上春海(id:kamiharu)の同人誌発行所です。問い合わせはkifusha☆gmail.com(☆→@)へ。

「稀風社の貢献」(第22回東京文学フリマ新刊)

 2016/5/1(日)開催の東京文学フリマ22にて,稀風社は新刊『稀風社の貢献』を発行します。

『稀風社の貢献』内容

 今回の新刊は一冊まるごと「第一回石井僚一短歌賞」を特集いたします。


・受賞作品1編,次席作品2編,ほか候補作品10編を全編掲載
・受賞者による受賞のことば
・5時間におよんだ選考会の模様をほぼノーカットで収録(60000字相当)
・選考委員各氏が選考前に短評を,選考会後に選後評(総計20000字相当)を執筆


 という文字数の多い本となりました。
 募集開始からおよそ半年にわたって石井賞に全力を注ぎつづけた選考委員各氏の真剣なまなざしを紙面から感じ取っていただければ幸いです。

そもそも第一回石井僚一短歌賞って?

 石井僚一短歌賞は,2014年の短歌研究新人賞受賞者・石井僚一氏が私財を投じて創設した新設の公募短歌賞です。稀風社はその後援を務めています。
 第一回となる今年はEメールにより全国各地から100編を超える応募を頂きました(多数のご応募ありがとうございます)。『稀風社の貢献』では受賞作品や候補作品が発表となるほか,選考過程が公開となります。
 第一回の選考委員は石井僚一氏のほか,同年に現代短歌評論賞を受賞した寺井龍哉氏,元会社員の情田熱彦氏が務めました。
 石井僚一短歌賞の詳細はこちらより過去記事をご覧ください。
 http://kifusha.hatenablog.com/archive/category/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E5%83%9A%E4%B8%80%E7%9F%AD%E6%AD%8C%E8%B3%9E
 受賞作品は今月30日に当ブログにて発表いたします。いましばらくお待ちください。

表紙

 今回の表紙は@dot_aiaさんに描いていただきました。*1
f:id:kamiharu:20160503181053j:plain
 暗闇のなかの,静謐な祝福をイラストにしていただきました。ぜひお手にとってご覧いただければとおもいます。

その他

1.通販・委託
 文学フリマ後,東京は中野区「タコシェ」さま,大阪は中崎町「葉ね文庫」さまなど各地の書店に委託販売をお願いする予定です。
 通販でのお求めは「タコシェ」さまほか一部の書店を通じて行っていただけるようになる予定です。詳しくは続報をお待ちください。
 なお文学フリマ後の自家通販の予定は現在のところありません。ご了承ください。
2.頒価
 文学フリマでの頒価は600円を予定しています。(2016/4/26追記)
3.文学フリマ
 文学フリマWEBカタログの稀風社ブースのUrlはこちらです。
稀風社@第二十二回文学フリマ東京ス-27 - 文学フリマWebカタログ+エントリー
 文学フリマ5/1(日)11:00-17:00より東京流通センター(東京都)第一展示場にて行われます。入場無料です。
 稀風社ブースはスー27です。お待ちしております。


 以上,どうぞよろしくお願いいたします。(三上)

 縁あって短歌研究新人賞という賞を受賞しましたが、本当に受賞者が僕でよかったのだろうか、という疑念は今も残ります。副賞二〇万円が愛しかったのでありがたく賞はいただきましたが、より切実な歌が応募作のなかにあった可能性は否めません。あの選考は正しかったのだろうか。では仮に僕が選考の側に立ったときに、そういった切実な歌を拾い上げることができるだろうか。もっとも大切な歌を聴き取ることができるだろうか。というかそもそも正しい選考ってなんだ。よくわからない。そうだ、とりあえずやってみよう。
 ということで、ここに石井僚一短歌賞を創設します。
 石井僚一「三万円――石井僚一短歌賞創設にあたって」(『誰にもわからない短歌入門』2015年)より

 僕が見た「石井僚一のすがた」、それは彼自身が、彼を捉えようとするありとあらゆる解釈や物語、筋の通った説明を撥ねのけ、総括を拒絶し、ただ一人、彼自身にふりかかった不条理に対峙し続けるすがたであった。そのすがたは異様で、彼自身に何らかの総括を求める解釈者たちを、ただ困惑させ、あるいは呆れさせるもので、だから「虚構の問題」とか「短歌における不文律」だとか、そういう不条理を包摂し、解釈可能なものにするために持ちだされたラベルたちはやがて色褪せて、今では過去の、解釈者たちにとって語るに値しない出来事のひとつになりつつある。そして石井僚一は黙殺されるか、もしくはテンションの高い不真面目な一発屋として理解されるに至った。
 しかし今、僕にとって「石井僚一のすがた」はきわめて明瞭だ。彼はただ、「なぜ?」を投じつづけている。何に?「父=神」にだ。それは呪詛ではない。もっとずっと根源的な問いだ。
 鈴木ちはね「編集後記」(『稀風社の貢献』2016年)より


追記

 抽選の関係により稀風社の第一回札幌文学フリマへの出展はなくなりました。
 稀風社既刊については他のサークルへの委託を考えております。続報をお待ちください。


 また文学フリマに合わせ4/30に歌会を行います。
職短3 (第三回 新宿職安通り大学短歌会) - TwiPla
 短歌を一首司会者に提出していただければどなたでもご参加いただけます。どうぞよろしくお願いいたします。

*1:@dot_aiaさんに表紙を描いていただくのは『海岸幼稚園』以来となります。ありがとうございます。