稀風社ブログ

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稀風社は鈴木ちはね(id:suzuchiu)と三上春海(id:kamiharu)の同人誌発行所です。問い合わせはkifusha☆gmail.com(☆→@)へ。

稀風社配信第16回詠草一覧+視聴者投稿短歌

 本日12/21の21時ころより、鈴木ちはね、三上春海、木屋瀬はしご、情田熱彦、そしてゲストに同志社短歌会、神大短歌会の溺愛さんをお呼びして「テーマ詠:卵」として歌会の配信を行いました。配信の録画は今日から30日以内に限り公開中です。Ustreamで「稀風社配信」と検索をすれば試聴できます。


 配信で扱った詠草の一覧は以下のとおりです。上記五名の歌に加えて、今回は視聴者から募集した短歌を一首加えました。多くの力作が集まりました。みなさまありがとうございました。
 記事後半には視聴者のかたがたから投稿して頂いた歌を、配信参加者のコメント付きで掲載しました。こちらもどうぞご覧ください。
 

【詠草一覧】
1.卵(らん) そして日日は受肉をくりかえし手に触れながら明滅している
 投票:三上春海
 視聴者票:YM_WT、is_hi_i


2.卵だけ手わたされた御友人はその後まじめに生きていますか
 投票:溺愛
 視聴者票:NIFOR6、myokoym、is_hi_i


3.卵殻を食むかたつむりもう二度と雨が降らない瓶底を這う
 投票:鈴木ちはね、情田熱彦、木屋瀬はしご
 視聴者票:YM_WT、maedarokugatu


4.ミサイルがたまごをすべて焼いていく 生まれるなdamnitもう生まれるな
 投票:鈴木ちはね、情田熱彦
 視聴者票:NIFOR6、antiskeptic、suit_003


5.白銀にひかりかがやく舟の見ゆ きみに卵をうませてあげる
 投票:溺愛


6.スリルある卵だったぼくたちの成人式にぜひきてください
 投票:三上春海、木屋瀬はしご
 視聴者票:maedarokugatu、myokoym、antiskeptic、suit_003




【作者解題】
1.鈴木ちはね 2.情田熱彦 3.にふぉー(視聴者投稿) 4.木屋瀬はしご 5.三上春海 6.溺愛




【視聴者投稿の短歌と、そのコメント】
ただ卵まみれの部屋で爆弾のコード握って寝坊しようよ/二三川練
・「卵まみれの部屋で寝坊するって、卵まみれだから寝返りとかうてなさそうだなー、って思ったらさらにそこから爆弾のコードを握っていて吹っ飛ばす気満々だな(笑)っておもしろかったです」(溺愛)


無精卵ばかりの群れに間違えて一本生える首を捻った/加瀬ナカレ
・「躊躇なく偶然の命を摘み取るかっこよさ」(木屋瀬)
・「「無精卵」という生命につながらない不毛な存在、あるいは秩序に奉仕するような鬱屈が感じられて良かったです」(鈴木)


かなしみの卵戦争ぼくたちは10個パックで消費されてく/ほしみゆえ
・「「卵戦争」ってなんなのでしょう、この言葉だけでもとても悲しそうな気がします。卵は弾丸のように消費されていく。スーパーは前線かもしれない」(三上)


ばあちゃんも卵子だったと聞きました話明かせばまた沈む月/中川徹哉
・「ばあちゃんという歴史がつまっている代名詞に卵子という若さをより強くした言い回しを持ってくるところがおもしろいと思いました。語り明かすを話し明かすや時間の経過を月が沈むと変えるところに自分の世界があり良いと思います」(溺愛)


真っ白な冬の朝日に包まれた君が卵を割る音がする/志歩
・「聴覚で卵をとらえていて新鮮でした。『真っ白な冬の朝日』の白さもまた、卵の白さを想起させます」(三上)
・「やや白さ明るさ一本調子なところに難があるものの、卵が割れる音に着目していること、そして朝の光に満たされた「君」がいる光景を、これもたぶん音を聴いて想像しているのであろうこと、それらを総合して得られる「君」と主体の光景がとても和やかでいいなと思いました」(鈴木)


雛になりかけの頭に卵殻を隔ててのこぎりの音がひびく/迂回
・「卵殻1枚を隔てて脳髄に直接響くメカニカルなのこぎりの音が、一首全体のギザギザ感のあるリズムとシンクロしていてすごい好きです」(情田)
・「孵化するまでもう少しだけ待ってあげてほしいけど、待ったとしても迷わずにひよこを食べそうな勢いを感じます。食べることが決まった後に慈悲なんか意味を為さないんだ、今のこぎりは進んでいるんだ、卵殻が割れるのは今なんだ、と畳み掛けるようで好きですね」(木屋瀬)

稀風社配信第16回予告

 12/21(日)21:00ころから第16回の稀風社配信を行います。
 『稀風社の嬌声』に掲載した第13回~第15回に引き続いて、今回の配信もまた題詠歌会のユーストリーム配信を行います。題は「卵」、テーマ詠になります。食べ物としての卵、これから生まれるものとしての卵、受精卵、卵の殻、などいろいろとアプローチの方法がある題です。有名な歌としては例えば次の歌があります。


 大きなる手があらはれて昼深し上から卵をつかみけるかも/北原白秋


 配信参加者は、鈴木ちはね(@suzuchiu)、情田熱彦(@johnetsu)、木屋瀬はしご(@haxigo)、三上春海(@kmhr_t)に加えて、ゲストとして溺愛さん(@l800___)をお招きする予定です。溺愛さんは神大短歌会、同志社短歌会に所属されていて、溢れ出るような短歌や連作を作られる方です。


 しろくまカレーライス園 そこではみんながにこやかにカレーを食べてしろくまを見る
   溺愛「動物図鑑」『神大短歌vol.1』
 星座さえ違うだけで泣きそうなのにどうして血液検査をしないの
 緒川那智のなまえをもってるみずいろハブラシ衛星軌道にいまのりました
   溺愛「血液型がわからないから動物占いができない」『同志社短歌一号』


 題詠「卵」、各位がどのような短歌をつくるのかとても楽しみです。
 配信url、配信開始時間等は追ってTwitter(@suzuchiu,@kmhr_t)にて告知します。
 どうぞよろしくお願いします。
 id:kamiharu


追記
 今回の配信では試験的に、視聴者のみなさんから短歌を募集してみたいとおもいます。集まった短歌の中から事前選考で選ばれた一首は、歌会の詠草一覧に加えられ、無記名の一首として、参加者の歌と同様に配信時に扱う予定です。またそのほかの短歌についても当ブログに掲載の可能性があります。
 特に景品などはありませんが、自分の歌を溺愛さんや稀風社のめんめんに読んでもらいたいという方、ぜひ投稿をしてみてはいかがでしょうか。
 詠草はテーマ詠「卵」で、ひとり一首まで、三上春海(@kmhr_t)か鈴木ちはね(@suzuchiu)のアカウントまでDMにより「第16回稀風社配信用」と明記したうえでお送りください(相互フォローにないかたは「フォローしてください」などと三上までリプライをくださればすぐにフォローいたします)。投稿時には詠草と、ハンドルネームを必ず付記してください。投稿の締め切りは20日(土)の23時59分です。
 お送りいただいた短歌は、そのうちの一首は配信内で詠草として扱うほか、ほかの歌についても稀風社ブログのこの記事の中や、あるいは今後発行される稀風社の同人誌等に掲載する可能性があります。未発表として控えておきたい歌は投稿しないようご注意ください。
 それでは、まだ見ぬ素敵な短歌、ふしぎな短歌など、お待ちしています。

【告知】『あたらしい遠足』『稀風社の嬌声』委託のお知らせ

 稀風社の文フリ19新刊『あたらしい遠足』『稀風社の嬌声』の二冊があたらしく、東京都中野区中野ブロードウェイ内にあります「タコシェ」さまに委託されることになりました。頒価は500円+税となります。
 新刊の詳細については以下の記事(1)をご参照ください。また『あたらしい遠足』については記事(2)もご参照ください。
 1.稀風社文フリ19新刊紹介―「あたらしい遠足」「稀風社の嬌声」― - 稀風社ブログ
 2.『あたらしい遠足』に関するお詫びと訂正 - 稀風社ブログ
 「タコシェ」さままで電話等により直接問い合わせていただければ、通販をすることも可能となっています。また「タコシェ」さまには上記の新刊のほか、現在は『さよならが来るのを待っている君へ』『海岸幼稚園』が委託されています。


 また、北海道は札幌市でも稀風社の既刊・新刊の販売が行われることになりました。来る12/7(日)のらっこ歌会さまの一周年記念イベント内「詩歌フリマ」に、『あたらしい遠足』『稀風社の嬌声』『海岸幼稚園』を出品いたします。頒価はどれも500円を予定しています。札幌近郊のかたはこちらもぜひよろしくお願いいたします。
 らっこ歌会 | らっこ歌会1周年記念イベント『謹んでお祝いおでんしつつ』開催!

「月夜のドライブ」訂正版 全文掲載

 稀風社の文フリ19新刊『あたらしい遠足』に収録の小説作品「月夜のドライブ」(作:尾瀬みさき)の訂正版を全文掲載いたします(掲載にあたっての経緯は次のリンクをご参照ください)。
 『あたらしい遠足』に関するお詫びと訂正 - 稀風社ブログ
 『あたらしい遠足』を購入されたかたはもちろん、そうでないかたにも広くご覧いただければとおもいます。
 『あたらしい遠足』をご購入いただいた皆様につきましては、本文末尾に正誤表を付記しましたのでそちらもどうぞご参照ください。

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『あたらしい遠足』に関するお詫びと訂正

 2014/11/24開催の第19回文学フリマにて頒布した『あたらしい遠足』を購入されたみなさまへお詫びと訂正があります。
 『あたらしい遠足』に寄稿していただいた作品のうち、尾瀬みさきさんの小説「月夜のドライブ」に、校正を経た改稿後の原稿ではなく、改稿前の初稿を掲載してしまう、という重大な編集ミスがありました。
 作者の尾瀬さんにはお送りいただいた作品をこのようなかたちで損なってしまったことを深くお詫び申し上げます。また『あたらしい遠足』を購入いただいたみなさまにつきましては不完全なかたちの冊子を頒布してしまったことを同じくお詫びいたします。大変申し訳ございませんでした。


 改稿前後で物語の筋には大きな変更はありませんが、複数箇所において描写が大きくことなっており、改稿前の原稿では作者の意図するところを正確にお伝えしきれていないこと、また改稿箇所が複数に渡るため正誤表での対応は難しいことから、作者の尾瀬みさきさんの了承のもと、代替措置として、「月夜のドライブ」の改稿後の原稿の全文を本ブログに掲載することに致しました。
 「月夜のドライブ」訂正版 全文掲載 - 稀風社ブログ
 こちらを持ちまして「月夜のドライブ」訂正版とさせていただきます。上述の記事にはまた『あたらしい遠足』書籍版と訂正箇所を照らしあわせた正誤表も掲載しております。合わせてどうぞよろしくお願いいたします。


 このたびはみなさまに大変なご迷惑をお掛けいたしました。今後このようなミスを繰り返さないよう、編集体制を見直すなど、再発防止に努めていきたく存じ上げます。どうか今後とも稀風社をよろしくお願いいたします。
 (稀風社 三上春海)